競艇のフライングを完全網羅!フライング休み・罰則・引退について
皆さんどうも。競艇戦線の管理人です。
今回は競艇におけるフライングについて調査してきました。
2023年4月からフライングに対する新基準が設けられて罰則が強化されたのはご存知でしょうか?
本記事では、そんな新ルールを始めフライングに関するあらゆる情報をまとめています。
この記事で分かること
ぜひ最後まで御覧ください。
日本モーターボート競走会に就職し、審査員を経験。その後、競艇予想屋に転身すると同時に、予想サイトの闇を暴く活動に従事。その活動が認められ、戦線グループに仲間入りした。
競艇のフライングについて
競艇はスタートライン手前から助走して、決められたタイミングでスタートするフライングスタート方式を採用しています。
スタートするタイミングは大時計の針が0を示した瞬間で、ピットアウトから1分30秒〜40秒(競艇場による)あたり。
このタイミングより0.01秒でも早いと、スタートラインに艇先が触れて失格となります。
フライングの可能性があると審議が始まり、テレビでは「スタート判定中」という表記が掲示されます。
その後、第1マークを旋回中〜バックストレッチ側を走行中にはフライングが確定して、該当の艇はレースから離脱するという流れです。
観戦中であってもフライングした艇は掲示板に表記されるので、誰でもすぐに分かるようになっています。
フライングをすると出走表にFが表記される
フライングした回数は出走表を見れば分かります。
フライングを1度した選手には「F1」、2度した選手には「F2」と表記。
後述で解説しますが、回数が多くなると重い罰則が課されるため、フライングしている選手はスタートに対して慎重になる傾向があります。
スタートが重要である競艇においてはこれが大きなハンデとなるので、予想する際は出走表にある「F」の表記も見ておきましょう。
また、このフライング数は5月1日〜10月30日、11月1日〜4月30日の累計数値です。
画像にある出走表を見れば、4月30日にフライングをした⑥号艇の飯塚選手が5月1日の出走表では0になっているのが分かるでしょう。
5月1日と11月1日は選手全員がリセットされるため、この日の直後は思い切ったスタートがしやすい時期と言われています。
予想する際は・・・
- F2の表記がある選手は慎重になる
- 期が切り替わるタイミングはSTが変動しやすい
以上の2点を頭に入れておきましょう。
フライングによる舟券への影響について
舟券を買う私達にとって、フライングがレースに与える影響は小さくありません。
フライングした選手がいた時に起こる3つの影響をご紹介します。
フライングによる影響①
対象の舟券が全額返金される
フライングが発生した場合、フライングした艇を絡めた舟券は全額返金されます。
画像にあるのは「返還」があった投票画面ですが、この日は④号艇が失格となりました。
④号艇がフライングをした場合、単勝で買った「④」はもちろん「①-④」や「①-②-④」の買い目は全て返金されます。
そのため、フライングが起こったレースで、自身が購入した舟券が返金対象の場合は捨てないようにしましょう。
また、舟券の有効期限は60日であり、その期間中であれば自動払戻機にて購入金が返ってきます。
尚、ネット投票した際は自動で返金されるので安心してください。
フライングによる影響②
最終オッズが確定オッズよりも下がる
フライングが発生したレースのオッズは変動します。
2023年5月16日の三国6Rのレース前における④-③-⑥の確定オッズは240.2倍。
このレースは①②号艇がフライングとなり、④-③-⑥で決着して最終オッズは8.2倍となりました。
競艇のオッズは全体の売上と舟券ごとの売上によって変動します。
そのため、一部の舟券が返金されるとなると全体の売上が減るため、フライングしていない艇の買い目のオッズが下がるのは必然です。
フライングによる影響③
5艇以上がフライングするとレース不成立となる
5艇以上がフライングすると、レース自体が不成立となります。
こちらが各券種による不成立となる条件です。
- 単勝:5艇以上がフライング
- 複勝:4艇以上がフライング
- 2連複:4艇以上がフライング
- 2連単:5艇以上がフライング
- 拡連複:4艇以上がフライング
- 3連複:3艇以上がフライング
- 3連単:4艇以上がフライング
各券種によって不成立となる艇数が異なりますが、5艇以上がフライングするとどの券種も不成立となります。
競艇のフライングの罰則をまとめてみた
フライングの罰則をまとめてみました。
フライングの罰則一覧
フライングが発生すると、該当する艇の舟券は全額返金されるため、私達にはそこまで大きな影響はありません。
しかし、舟券の売上によって運営されている競艇場に大きな損害が発生します。
場合によっては10億円以上のお金が返還されるので、競艇場にとってはかなりの痛手になることも。
それを防ぐために、フライングをした選手には様々な罰則が設けられています。
以前からかなり厳しい罰則でしたが、2023年4月からさらに厳罰化されました。
フライングの罰則①
フライング休みについて
フライングを起こした競艇選手は、一定期間レースに出場できなくなります。
これをフライング休みと言われており、回数によって期間が延長される仕組みです。
フライング回数 | 加算される日数 |
---|---|
1回目 | +30日 |
2回目 | +60日(計90日) |
3回目 | +90日(計180日) |
4回目 | +180日(計360日) |
※5月1日〜10月30日、11月1日〜4月30日での累計
期で1回フライングした選手は30日。2回目は30+60=90日。3回目は30+60+90=180日。
このような感じで加算されて、出場停止期間が決定されます。
お休みに入るタイミングとしては、フライングをした直後ではなく、出場が決まっているレースが全て終わった後からスタートです。
ちなみに、3回フライングを起こすと約半年間(1期)は出場できなくなり、階級もB2級に。
さらに、4回目となると「選手出場あっせん保留基準第8号」と「競走の構成確保及び競技水準の向上に関する規定」により引退勧告が告げられます。
過去にフライングを4回した選手はおらず、2回行った時点でスタートはかなり慎重になるようです。
フライングの罰則②
フライングをすると優勝を狙えない
フライングを起こすと同節で行われる、選抜レース、特選レース、準優勝戦・優勝戦には出場できなくなります。
※出典:ボートレース公式
仮に初日にフライングをした後にいくら予選で好成績を残したとしても、賞金を獲得することはできません。
そのため、フライングを起こした選手はモチベーションが大きく崩れることがあるので、買い目に含めるのは注意するべきでしょう。
また、同一節でフライングを2度行うと即日帰郷となるのも覚えておくべき罰則です。
2度目のフライングをしたレース後に荷物をまとめて、競艇場から出ていかなければならない重い処分が下されます。
フライングの罰則③
事故点として20点が加算される
フライングをすると事故点として予選では20点・優勝戦では30点が加算されます。
※出典:ボートレース公式
階級が決まる要素のなかで事故率というのが存在します。
事故率は「事故点の合計÷出走回数」で計算された数値であり、前期で0.7を超えると成績に関わらず後期はB2級に。
フライングは事故点が15点である妨害失格よりも厳しく、2度フライングすると事故率0.7を下回るのはかなり厳しい状況になります。
フライングをした選手が「事故パンだよ」と口にするのは、事故率を気にしてレースができない状況にいるということです。
フライングの罰則④
【改定】非常識なフライングをすると休みが加算される
0.05秒よりも早いタイミングでスタートすると、出場停止期間として+5日が加算されます。
ここまで大きくフライングすると他の選手のタイミングがズレて、大きな迷惑をかけることから「非常識なフライング」と呼ばれています。
2022年4月以前までは、非常識なフライングを起こした以降の節中のレースには出場できずに即帰郷となるという罰則でした。
しかし、フライング休み+5日間が加算されるように2022年5月1日から改定。
1回目に非常識なフライングを起こすと30日+5日=35日、2回目に初めて非常識なフライングを起こすと30+60+5日=95日となるので、覚えておきましょう。
フライングの罰則⑤
【新基準】賞典除外処分が厳しくなる
SG・G1・G2の優勝戦・準優勝戦でのフライングを起こすと、賞典レースに長期間出場できなくなります。
フライングを起こしたタイミング | SGに出場できない期間 | G1・G2に出場できない期間 | |
---|---|---|---|
SG | 優勝戦 | 2年間 | 1年間 |
準優勝戦 | 1年間 | 6ヶ月 | |
G1・G2 | 優勝戦 | なし | 1年間 |
準優勝戦 | なし | 6ヶ月 |
※2023年4月からルール変更がり厳罰化されました。
これは出場予定だったレースも全て取り消されるため、有名選手がSG・G1に出場しない場合は選出除外となっている可能性が高いです。
2022年までは新基準よりも半分の期間で済みましたが、2023年4月からはSGの優勝戦でフライングすると2年間もSGに出場できなくなります。
選手にとってはスタートを攻めることができず、フライングが減ることになるのは間違いありません。
今後の賞典レースでの優勝戦・準優勝戦はイン逃げの堅いレースが増える可能性が高いでしょう。
フライングの罰則⑥
その他の罰則
その他の罰則がこちらになります。
- 反省文
- 罰金
- 訓練
まずフライングをした選手は、レース直後に同じレースを出走した選手に謝ります。
その後、競艇場関係者に反省文を書かなくてはいけません。
さらに、1度目のフライングから90日以内に再度フライングを起こすと、碧南訓練所にて2泊3日の訓練が決定します。
宿泊費はフライングによって集められた罰金(1回目は6万円、2回目は10万円、3回目は10万円)によって賄われています。
選手にとって訓練によって奪われる時間や労力がかなり辛いものになるそうです。
フライングとなったレースをご紹介!
ここまででフライングの基準や罰則など、ある程度のことは理解できたと思います。
では、過去にどのようなレースでフライングがあったのでしょうか。
こちらでは、過去に話題となった2レースをご紹介します。
フライングで話題となったレース①
宮島第12回グランドチャンピオン
1つ目は2002年6月30日の宮島12R(第12回グランドチャンピオン)です。
①号艇の西島義則選手と②号艇の熊谷直樹選手がフライングとなりました。
フライングでの返還額が最も高いレースとなり、その額なんと24億3513万円。
売上の99%が返還される「世紀の大フライング」と言い伝えられています。
また、このフライングによって2015年までの約12年間、宮島でのSG開催が見送られることになりました。
フライングで話題となったレース②
SG第68回ボートメモリアル
2つ目は2022年8月28日の浜名湖12R(SG第68回ボートメモリアル)です。
③号艇の新田雄史、④号艇の白井英治がフライング。
人気選手の2艇によるフライングによって、売上の81%にあたる13億4993万円が返還されました。
展示レースの際はほぼ無風状態でしたが、本番になって向かい風5mの強風が吹き荒れたことが原因だったとされています。
このフライングによって2人は1年間のSG戦の出場ができなくなりました。
フライングが多い選手をご紹介!
続いて、フライングが多い現役の競艇選手をご紹介します。
ご紹介する選手はF0の状態であれば、かなり攻めたスタートをしてくる可能性が高いです。
予想する際に該当する選手がいる外枠にいる場合は、まくりが決まりやすくなるので頭に入れておきましょう。
フライングが多い選手①
田頭実
田頭実(タドウミノル)選手は福岡支部に在籍するA1級のボートレーサーです。
今なおA1級で活躍しているベテラン選手であり、フライング数は現役最多の57回となっています。
フライングをしたとしても動じず、同節のレースで好スタートを決めることでも有名な選手です。
F3となっていてもST0.08でスタートして優勝を決めたレースは「田頭実伝説」と呼ばれています。
また「ボート界イチの鋼の精神」という呼び名が付けられており、インタビューでの落ち着きからもメンタルの強さが感じられるほどです。
フライングが多い選手②
中野和裕
中野和裕(ナカノカズヒロ)選手は佐賀支部に所属するB1級のボートレーサーです。
フライング回数は田頭選手に次いで第2位にあたる51回のフライングを起こしています。
特に2014年は3節連続でフライングを起こして、引退勧告を受けるギリギリまで追い込まれました。
2023年の現在まで毎年フライングしているほど、攻めたスタートを切ってくる選手なので、頭に入れておきましょう。
フライングが多い選手③
白井英治
白井英治(シライエイジ)選手は山口支部に所属しているA1級のボートレーサーです。
SG優勝3回、G1優勝13回を誇るトップレーサーではあるものの、フライングの通算回数は46回と多くなっています。
前述でご紹介した2022年8月28日の浜名湖12R(ボートレースメモリアル)でフライングを起こした選手の1人です。
フライングで多大な迷惑をかけたとインタビューで謝罪しており、フライングによることの重大さ伝わります。
それでも白井選手の平均STはデビューしてから3年経った2000年から約23年間、毎年0.16以下をキープしているのが本当に凄いです。
フライングから予想に活かすポイント
フライングは選手にとって重い罰則が待ち受けるかなりシビアなものです。
そのため、フライングをしてしまった選手の心理状態は不安定に。
そんな選手の心理状態から分かる予想に生かせるヒントを解説していきます。
皆さんが予想する際は参考にしてみてください。
フライングから読み解く予想のポイント①
F2の選手は狙わない
出走表に「F2」と記載がある選手は良いスタートを切りにくいです。
前述でもご紹介しましたがF2とは、期で既に2回フライングしていることを意味します。
もし、F2の選手が3回目のフライングをしてしまうと、180日間の出場停止となり階級がB2級となる大きな罰則が。
そのため、フライングを2回している選手はスタートがかなり慎重になり、本来の実力を出しにくくなります。
画像にある出走表の井上選手も平均STは0.15であるものの、F2で迎えた今節のSTは0.2台を連発しているのが分かるでしょう。
スタートが悪いともちろん連対率も低くなるので、F2と記載のある選手を買い目に含めるのは注意が必要です。
フライングから読み解く予想のポイント②
隠れフライングの選手に注意
フライング数は期ごとにリセットされるため、5月1日と11月1日直後は全選手がF0に。
中にはフライング休みを消化しきれていない選手が存在し、そんな状況のことを「隠れフライング」と言いいます。
隠れフライングにある選手はF0にも関わらず、これ以上出場停止期間を伸ばしたくない心理が働いて、スタートが慎重になることが多々。
そのため、そのような選手を買い目に入れるかは慎重に判断する必要があります。
隠れフライングについては競艇日和の出走表で確認することが可能です。
赤枠で囲った箇所で「1」という表記がある選手が隠れフライングの状態となっています。
予想する際は必ずチェックしておきましょう。
フライングから読み解く予想のポイント③
スタート展示でのフライングは気にしない
スタート展示でフライングをした選手は本番で好スタートを決める可能性が高いです。
展示から本番へのスタートのタイミング調整において、早めるよりも遅らせる方がやりやすいと言われています。
そのため、スタート展示は意図的に攻めたスタートをしている選手が多いです。
対して、スタート展示で大きく出遅れてしまった選手はモーター性能に問題がある可能性が考えられます。
スタート展示で出遅れた選手よりも、フライングした選手の方が好走しやすいと覚えておきましょう。
競艇のフライングまとめ
いかがでしたか。
競艇は指定の時間より前にスタートラインを通過すると「フライング 」で失格となります。
フライングが起こると舟券代は全額返還となるので、予想する側は特にお咎めなし。
そのため、ボートレースを見始めて間もない方は、そこまで意識して見ていないのではないでしょうか。
しかし、フライングをしてしまった選手はかなり重い罰則が課されます。
事故点が加算される他にレースへの出場が一定期間停止、さらには選手生命に関わってくるものまで。
フライングは選手の走りに大きな影響を及ぼすため、予想する際は意識してみると的中アップに繋がるはずです。
LINE公式アカウント
このコラムに関する口コミ